貝や米、金属、紙。お金として使われたものから、昔の人の暮らしをのぞいてみましょう。
この記事で考えること
- お金として使われたものは、地域や時代によって違うと説明できる。
- お金の材料と、そのお金で支払える金額を区別できる。
- 新しい支払い方が広がっても、ほかの支払い方が一緒に使われることがあると分かる。
昔は、貝や米もお金だった?
財布に入っているお札や硬貨。今の日本では見慣れたものですが、昔からどこでも同じものが使われていたわけではありません。
例えば、昔の中国では「子安貝(こやすがい)」という貝がお金として使われました。手に入りにくい、貴重なものでした。日本でも、米や布を支払いに使った時代があります。

リク
米もお金だったの? たくさん買いたいときは、運ぶのが大変そうだね。

モモカ
貝なら小さいけど、拾った貝でも買い物できたのかな?

門井先生
貝なら何でもよかったわけではないよ。その土地の人たちが、支払いに受け取るものとして認めていることが大切なんだ。
何がお金として使われるかは、その地域で手に入るものや、人々の暮らしとも関わっています。「珍しいから」「きれいだから」だけで、どんなものでもお金になるわけではないのですね。
みんな同じ順番で変わったわけではありません
「貝、金属、紙の順に、世界中で一斉に切り替わった」と考えたくなるかもしれません。でも、実際の歴史はもっとさまざまです。
日本では金属のお金が使われたあと、平安時代の終わりごろには、米や布を支払いに使うことが広がった時期もあります。江戸時代には、金・銀・銅のお金に加えて、各地の藩(はん)が発行する「藩札(はんさつ)」という紙のお金も使われました。藩は、そのころの地域を治めていたまとまりです。

ユイ
紙のお金ができても、金属のお金が全部なくなったわけじゃないんだね。
お金の歴史を見るときは、形だけでなく「いつ、どこの地域で使われたのかな」と一緒に考えてみましょう。
紙のお金には、どんなよさがあるのでしょう?
日本の古い紙のお金の一つに、「山田羽書(やまだはがき)」があります。1600年ごろ、今の三重県伊勢市の地域で使われ始めたもので、預けた銀のお金を受け取れる証書が、支払いにも使われました。証書とは、預かったことなどの約束を書いておく紙です。
紙のお金には、持ち運びやすいというよさもあります。今のお金で比べてみましょう。100円玉10枚を、千円札1枚に交換します。交換のための手数料がかからないなら、どちらも合計は1,000円です。

モモカ
お財布は軽くなるのに、使える金額は同じなんだ!
お金の重さや枚数と、支払える金額は別なのですね。ただし、紙のお金が生まれた理由や広がり方は、地域や時代によって違います。持ち運びやすさだけが理由だったとはいえません。
どうして、紙で買い物ができるの?

リク
じゃあ、ぼくも紙に「千円」って書いたら使える?

門井先生
自分で書いただけでは、本物のお金にはならないよ。お店の人がその紙を受け取っても、次のお店で使えるとは思えないよね。
今の日本のお札は、日本銀行が発行しています。「発行」とは、お金を正式に世の中へ出すことです。実際に紙のお札を作る仕事とは区別します。
お札が広く使われるのは、受け取った人も「次の支払いに使える」と信頼しているからです。お札を発行する日本銀行の仕事や、お金として使えるようにする法律などが、その信頼を支えています。

ユイ
お店の人も、そのお札をまた使えると思うから、受け取れるんだね。
千円札は、材料の紙そのものに1,000円の値段がついているわけではありません。紙に書かれた数字だけでなく、お金として使える仕組みがあるのです。
今も、いろいろな支払い方が使われています
今は、現金を渡すほかに、カードやスマートフォンで支払う方法もあります。このように、現金を直接渡さずに代金を払うことを「キャッシュレス決済」といいます。
キャッシュレスが広がっても、お札や硬貨は一緒に使われています。新しい方法ができたら、前の方法がすぐになくなるわけではありません。お店で使える方法や、使う人の状況によって、選ばれる支払い方は違います。

モモカ
新しいほうだけが正解、ってわけじゃないんだね。
形や支払い方の違いを見つけたら、「どんなときに使いやすいのかな」と考えてみると、お金の歴史が今の暮らしにもつながってきます。
今回のまとめ
- 貝や米、金属、紙など、お金として使われたものは地域や時代によって違います。世界中で同じ順番に変わったわけではありません。
- 重さや枚数と、支払える金額は別です。今のお札は、材料の値段ではなく、お金として使える仕組みと信頼に支えられています。
- 新しい支払い方が広がっても、ほかの支払い方が一緒に使われることがあります。
おうちの人と話してみよう
家族や地域によって、経験はさまざまです。どちらが優れているかを決めるのではなく、使い方の違いを探してみてください。
出典・参考資料
外部サイトの資料は新しいタブで開きます。
- 日本銀行金融研究所 貨幣博物館「常設展示図録」貝のつく漢字・子安貝
- 日本銀行金融研究所 貨幣博物館「日本貨幣史」
- 国立印刷局「お札に関するよくあるご質問」
- 日本銀行「お札への信頼性の維持」
- 日本銀行「日本銀行がお札を発行するのはなぜですか?」
- 日本銀行「決済の手段にはどのようなものがありますか?」
- 日本銀行 子ども向け教材(貨幣の紹介、PDF)
- 日本銀行「第2章 決済の道具」紙幣の始まり
情報確認日:2026-10-19

門井孝史
1977年、埼玉県生まれ。ファイナンシャルプランナーとして企業経営者や不動産オーナーをサポートし、MDRT最上級資格「TOT」を持つお金の専門家。「子どもにもお金の大切さを知ってほしい」という想いから、『マネテラス』でお金の仕組みや使い方を楽しく教える。趣味は野球で、休日はキャッチボールを楽しむことも。
