パン屋さんをのぞいて、仕事とお金のつながりを考えてみましょう。
この回で考えること
- 物を作る仕事も、修理や配達をする仕事も、暮らしを支えていると気づく。
- お店の売上と、そこで働く人の給料を区別する。
- お金をもらうかどうかだけでは、活動の大切さは決まらないと考える。
パンを買えるのは、誰が働いているから?
第1回では、お金を使うと買い物がしやすくなることを学びました。では、お店で受け取った代金は、誰の、どんな仕事につながっているのでしょうか。今日は、パン屋さんをのぞいてみます。

リク
パンを買ったら、お店の人にお金を渡すよね。あのお金が、その人の給料になるの?
お金の行き先を考える前に、パンが店に並ぶまでを見てみましょう。小麦を育てる人、材料を運ぶ人、パンを焼く人、店で売る人。パンを一つ買う場面にも、いろいろな人の仕事がつながっています。

ユイ
売っている人だけじゃないんだね。材料が届かなかったら、パンを焼けないもん。
私たちが毎日使う物や食べる物は、目の前にいる人だけでなく、見えないところで働く人にも支えられています。
物を売るだけが仕事ではありません
仕事には、パンのような物を作ったり売ったりするものだけでなく、困ったことを解決したり、誰かの手間を引き受けたりするものもあります。
例えば、自転車がこわれたとき、修理をお願いすると、また乗れるようになります。荷物を届けてもらえば、自分で遠くまで取りに行かずにすみます。このように、修理や配達など、誰かのために行う働きも「サービス」と呼びます。

モモカ
直してもらったら、新しい自転車を買わなくても、また乗れるね!

門井先生
そうだね。物だけでなく、直す技術や運ぶ手間にも、代金を支払うんだよ。
給料は、働く約束にそって受け取るお金
会社やお店に雇(やと)われて働く人は、仕事の内容や働く時間、給料などを決めて働きます。その約束にそって仕事をし、会社やお店から受け取るお金が「給料」です。給料は、暮らしに入ってくるお金である「収入」の一つです。
例えば、パン屋さんで、決められた時間にパンを焼く仕事をする人がいます。その人は、自分でお客さんから代金を受け取らなくても、働く約束にそって給料を受け取ります。

リク
そっか。レジでお金を受け取る人だけが、給料をもらうわけじゃないんだ。
給料は、お客さんがその場で決めるお礼ではありません。例えば、働いた時間で給料を決める約束なら、仕事をしたのに、その日にパンを売って得たお金が少ないという理由だけで給料がなくなるわけではありません。
お店の売上は、そのまま給料になる?
では、最初のリクの疑問に戻りましょう。パンを売って得る代金は、お店の「売上」です。レジで受け取った人が、そのまま全部を自分の給料にできるわけではありません。
お店を続けるには、小麦粉などの材料代、パンを焼くための電気代、店の場所を借りるお金などが必要です。お店に雇われて働く人の給料も、必要なお金の一つです。こうした、仕事をするためにかかるお金を「費用」と呼びます。

ユイ
パンがたくさん売れても、材料を買ったり、電気代を払ったりするお金がいるんだね。
誰かに雇われるだけでなく、自分でお店を開くという働き方もあります。その場合は、売上だけでなく、費用も考えて店を続けていく必要があります。「今日はたくさん売れた」だけでは、自分の暮らしにいくら使えるかはわからないのです。

門井先生
「お店に入ったお金」と「そこで働く人が受け取る給料」は分けて考えよう。売上と給料は、同じものではないんだよ。
お金をもらわなくても、大切な働きがあります

モモカ
家でごはんを作ったり、洗濯したりするのも、誰かの役に立っているよね。
その通りです。家事や家族の世話、地域の清掃など、給料をもらわなくても暮らしを支えている活動はたくさんあります。お金をもらわないから、大切ではないということにはなりません。
給料がある仕事についても、金額の多さだけで、その仕事の大切さや人の価値は決まりません。「いくらもらえるか」に加えて、「誰の、どんな暮らしを支えているのか」にも目を向けてみましょう。
今回のまとめ
- 物を作る・売る・直す・運ぶなど、いろいろな仕事が暮らしを支えています。
- 給料は、雇われて働く人が、働く約束にそって受け取るお金です。お店の売上とは区別します。
- お金をもらうかどうかだけでは、その活動の大切さは決まりません。
おうちの人と話してみましょう
同じ物を選んでも、思いつく仕事は違うかもしれません。お互いに見つけた仕事を伝え合ってみましょう。
次の回では、使えるお金を「今使う分」と「先のために貯める分」に分けて考えます。欲しい物がいくつもあるとき、どうやって決めればよいのでしょうか。
出典・参考資料
外部サイトの資料は新しいタブで開きます。
- 金融広報中央委員会『金融教育プログラム』小学校・総合的な学習の時間の指導計画例
- 厚生労働省『働くときの権利と義務』双務契約
- 中小機構 J-Net21『損益分岐点の計算方法と経営改善に向けた活用方法』
- 内閣府 経済社会総合研究所『無償労働等の貨幣評価に関する報告書』
- J-FLEC『はじめてのお金の時間』教材案内
- 経済産業省『サービス貿易』サービスとは
情報確認日:2026-10-16

門井孝史
1977年、埼玉県生まれ。ファイナンシャルプランナーとして企業経営者や不動産オーナーをサポートし、MDRT最上級資格「TOT」を持つお金の専門家。「子どもにもお金の大切さを知ってほしい」という想いから、『マネテラス』でお金の仕組みや使い方を楽しく教える。趣味は野球で、休日はキャッチボールを楽しむことも。
